小上がり・畳コーナーで後悔しないために実例で見る5つのポイント

 

和の空間に統一感を増す小上がり畳コーナー

リビングに畳の居場所をつくりたい。そう考えたときに候補になるのが、小上がりや畳コーナーです。

一方で「つくらなければよかった」という声も見かけます。後悔の多くは、つくる前に判断材料が足りなかったことから起きています。

段差の下は本当に収納として使えるのか。子どもが大きくなったら使わなくなるのか。木の空間から浮いてしまわないか。こうした疑問は、言葉だけで説明されても判断がつきません。
このページでは、よくある5つの後悔について、実際の施工事例でどう解いているかを写真とあわせてご紹介します。

読み終えたときに、ご自身の暮らしに畳の居場所が必要かどうかを判断できる状態になることを目指しています。気になる項目から読み進めてください。



目次

01 小上がりと畳コーナーは段差の有無で呼び分けます

「小上がり」と「畳コーナー」は、段差があるかないかで呼び分けられることが多い言葉です。

床から一段上げた畳のスペースを小上がり、床とひと続きの畳のスペースを畳コーナーと呼ぶ、という使い分けです。ただし厳密な決まりはなく、どちらも「リビングに設けた畳の居場所」を指す言葉として使われています。

当社の施工事例でも、段差のあるものは「小上がり畳」、段差のないものは「畳スペース」としてご紹介しています。

呼び方より大切なのは、段差を設けるかどうかで、できることが変わるという点です。段差があれば内側を収納にでき、腰かけて過ごせます。段差がなければ、行き来がなめらかになります。
この違いについては、後ほど実例とあわせて詳しくご紹介します。

02 小上がり・畳コーナーでよくある5つの後悔

つくったあとに聞かれる後悔は、大きく5つに整理できます。その多くは、つくる前に判断材料が足りなかったことから起きています。

それぞれの後悔について、実際の施工事例でどう解いているかを、このあと順にご紹介します。気になる項目からお読みください。

よくある後悔起きやすい原因
使わなくなった何をする場所か決めないままつくった
収納が物置になった何を入れるか決めずに広さだけ決めた
畳スペースだけ浮いて見える畳の色だけで選んだ
段差が暮らしに合わなかったつくるかつくらないかの二択で考えた
広さが合わなかった用途より先に広さを決めた

03 使わなくなるのは使い方が決まっていないときです

「子どもが大きくなったら使わなくなるのでは」という不安は、よくお聞きします。ただ、使われなくなった畳スペースには共通点があります。その場所で何をするかが、つくる前に決まっていなかったことです。

用途がはっきりしている畳スペースは使われ続けます

浜松本部の事例では、読書をしたり趣味を楽しんだりする場所として畳スペースが設けられています。公開されている施工事例でも、住まい手のお気に入りの場所として紹介されています。

何をする場所かが決まっていると、暮らしの中に居場所として定着します。反対に「あると便利そう」という理由だけでつくると、使う理由が生まれないまま物が置かれていきます。

幸田町の事例では、小上がりに掘りごたつを設けています。人が集まって腰を落ち着ける場所として、暮らしの中心に置かれています。何をする場所かが、形からはっきり分かるつくり方です。

明るい無垢床のLDK中央に設けた掘りごたつのある小上がり

開放感と落ち着きが同居する空間

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つくる前に「ここで何をするか」を、ひとつだけでも決めておく。これが使われ続ける畳スペースの条件です。

子育てが終わってから畳スペースをつくった家もあります

畳スペースは子育て期のためのもの、と思われがちです。しかし浜松本部の事例には、お子様の独立を機に建てられた家があります。

リビングの中に小上がりの和室を設け、畳の下は引き出し収納にしています。装飾ガラスが光を通し、庭へも気軽に出られるつながりのある間取りです。

リビングの中に設けた小上がりの和室と装飾ガラス

リビング内に設けた小上がりの和室

▶詳しい施工事例はこちらから(浜松本部)

子育てのための場所としてではなく、これからの暮らしのために畳スペースが選ばれているということです。

暮らし方は変わっていきます。だからこそ、そのときどきに合った使い方を見つけやすい場所として、畳スペースは残せます。

04 収納は出し入れの位置で使い勝手が変わります

段差の下が収納になることは、小上がりを選ぶ大きな理由のひとつです。ただし、収納は「あるかないか」よりも「どこから出し入れするか」で使い勝手が変わります。

当社の施工事例では引き出し式が多く見られますが、段差のどの面を使うかは事例ごとに違います。実際の3例をご覧ください。

段差の正面と側面から出し入れできます

幸田町の事例では、段差の立ち上がり面に大きな引き出しを設けています。引き出した状態がこちらです。奥行きと深さがあり、かさばるものも収められます。

小上がりの段差から引き出した大型の収納引き出し

暮らしの中心、小上がりの掘りごたつ

豊田市の事例では、ダイニングの一角に小上がりを設け、段差の正面と側面に引き出しを設けています。大きな掃き出し窓に面した明るい場所です。

取り出せる面が複数あると、そばに家具を置いたときにも使いやすくなります。

段差の正面と側面に引き出しを備えた小上がりの畳スペース

収納も備えた小上がり畳スペース

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座面の下がそのまま収納になります

その他の事例では、LDKの一角に設けた小上がりの座面下に引き出しを設けています。「家の適材適所に収納を付けてほしい」という奥様のご希望から生まれた収納です。

腰かける部分がそのまま収納になるため、段差を座る場所としても収納としても使えます。

縦格子で仕切られた小上がりと座面下の引き出し収納

小上がりの畳スペースは用途多様

橙の照明に照らされる夜の小上り畳スペース

夜はまた別の雰囲気を出してくれます

▶詳しい施工事例はこちらから(浜松本部)

畳の下をまとめて収納にできます

同じく浜松本部の事例では、リビング内に設けた小上がりの和室で、畳の下を引き出し収納にしています。

畳の面積をそのまま収納として使える取り方です。

畳の下を引き出し収納にした小上がりの和室

畳の下を引き出し収納にした小上がり

物置にしないために入れるものを先に決めます

物置になってしまうのは、容量が足りないからではなく、何を入れるかが決まっていないからです。

先に「何を、どれだけ入れるか」を決めてから、引き出しの数や取り出す向きを考える。この順番にすると、必要な容量が自然に決まります。

もうひとつの目安は、使う場所の近くに置くものを収めることです。リビングで使うものを収めれば、出し入れの動きが短くなり、使われ続ける収納になります。

05 木の空間から浮くかどうかは周りの木部で決まります

畳スペースが空間から浮くかどうかは、畳そのものの色より周りの木部との関係で決まります。無垢の床、現しの柱や梁、壁の色。この3つと畳をひとつの組み合わせとして考えると、浮くかどうかを事前に判断しやすくなります。

浮くかどうかは畳の色だけでは決まりません

畳単体で色を選ぼうとすると、どうしても決めきれません。カタログで見た色が実際の空間でどう見えるかは、周りの木部次第で変わるからです。

サイエンスホーム岡崎店の家は、国産ひのきを使った真壁づくりです。柱や梁が壁の外に現れているため、空間の中にすでに木の色が入っています。畳は、その木の色の中に置かれることになります。だからこそ、床の色・柱の色・壁の色と並べて考えることが、判断の近道になります。

縁のあるなしで印象は大きく変わります

畳の印象を最も大きく左右するのは、縁(へり)のあるなしです。

縁がないと畳一枚ごとの輪郭が主張せず、和室らしさがやわらぎます。市松に敷くと、光の向きによって市松模様が浮かび上がり、同じ色の畳でも表情が生まれます。

縁あり畳

  

畳の輪郭がはっきり出ます
和室らしい印象になります

縁なし畳(市松敷き)

  
  

輪郭が主張しません
光の向きで市松模様が出ます

和の雰囲気を大切にしたい場合は縁のある畳、リビングとゆるやかにつなげたい場合は縁のない畳、という選び方が目安になります。

実際の施工事例で見比べてみます。幸田町の事例では、濃い色の縁のある畳を使っています。縁が畳の輪郭を区切るため、和の趣がはっきりと出ます。豊田市の事例は縁のない畳で、床とのつながりがなめらかです。

濃い色の床には淡い色の畳が合います

濃い色の無垢床には、淡い色の畳を合わせると沈みません。

豊田市の事例では、濃いブラウンの無垢床と現しの柱・梁に、淡いグリーンの縁なし畳を合わせています。白い壁が間に入ることで、濃い木部と畳のあいだに軽さが生まれています。

濃いブラウンの無垢床に淡いグリーンの縁なし畳が映えるリビング

光あふれる小上がり畳リビング

岡崎市の和モダンな事例も、落ち着いた濃い色の無垢床を乱尺に張り、天井は格子状の組み天井です。畳は淡い自然色で、全体が静かなトーンにまとまっています。

LDKとの距離も近い小上がりの和室

趣きある小上がりの和室

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濃い床は空間を引き締めますが、畳まで濃くすると重く見えます。床と畳のあいだに明度の差をつくることが、まとまりのある見え方につながります。

明るい色の床では輪郭がやわらかく溶けます

明るい床の場合は、畳との明度が近くなるため、輪郭がやわらかく溶けます。

浜松本部の事例では、明るい国産ひのきの床とグレージュの塗り壁、勾配天井に現しの梁と野地板という構成に、淡いナチュラル色の縁なし畳を合わせています。濃い床のようなコントラストではなく、空間全体が穏や

かにつながる見え方です。

明るい国産ひのきの床と勾配天井が広がる2階の小上がり畳スペース

読書や趣味を楽しむ小上がりの畳スペース

明るい床では、畳スペースだけを目立たせるのではなく、空間の一部として自然になじませる方向が合います。

真壁の柱が畳スペースの輪郭をつくります

真壁づくりでは、柱が壁の外に見えています。この柱が、畳スペースの輪郭を自然につくります。

幸田町の事例では、木格子で畳の間をゆるやかに区切っています。浜松本部の事例では、真壁の柱を活かして壁一面に可動式の本棚を造作し、ファミリーライブラリーにしています。

木格子でゆるやかに仕切られた和モダンな畳の間

畳が誘う静かな和のひととき

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間仕切りを足さなくても、柱があることで「ここからが畳スペース」という範囲が伝わります。構造として現れている柱を、空間の区切りとして使えるのは、真壁づくりならではの考え方です。

床と木部の色空間の見え方
濃いブラウン白い壁が入ることで軽さが出る。畳の位置が際立つ
明るい白木・ひのき明度が近く、輪郭がやわらかく溶ける
赤味のある濃い木部コントラストが強く、和モダンな印象になる

06 小上がりにしないという選び方もあります

小上がりにするかどうかで迷いが晴れないときは、「する・しない」の二択で考えていることが原因かもしれません。段差を設けない、置く場所を変える。選択肢を広げると、判断しやすくなります。

段差を設けない畳スペースという選択があります

岡崎市の事例では、リビングに隣接して畳スペースを設けていますが、段差はほとんど設けていません。床と畳がひと続きになり、行き来がなめらかです。

区切りをつくっているのは段差ではなく、柱と障子戸です。開ければリビングとつながり、閉じれば独立した和室になります。真壁の柱が空間をゆるやかに分けているため、段差がなくても畳スペースの範囲が伝わります。

障子戸で仕切れるリビング隣接のフラットな畳スペース

障子から漏れる光が美しい和の空間

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段差をなくすと、その内側を収納にすることはできません。この事例では、和室の奥に押入れを設けています。段差で収納をとるか、別の場所で収納をとるかという考え方です。

リビング以外に畳スペースをつくる方法もあります

畳スペースはリビングの一角に、と考えられがちですが、置く場所は他にもあります。

浜松本部の事例では、2階に小上がりの畳スペースを設けています。吹抜けと階段に面したフリースペースで、真壁の柱を活かして壁一面に可動式の本棚を造作し、ファミリーライブラリーにしています。

真壁の柱を活かして造作した壁一面の可動式本棚

真壁の柱を活かした造作の本棚

▶詳しい施工事例はこちらから(浜松本部)

リビングから離すことで、落ち着いて過ごす場所になります。LDKの面積を使わずに畳スペースを持てる点も、間取りを考えるうえでの選択肢になります。

タイプ特徴
段差のある小上がり段差が空間を分ける。内側を収納にできる。腰かけて過ごせる
段差を設けない畳スペース柱や建具で分ける。押入れなど別に収納を設ける。ひと続きで移動しやすい

07 つくる前に決めておきたい5つのこと

小上がり・畳コーナーで後悔しないために、設計に入る前に決めておきたいことを5つにまとめました。

すべてに答えが出ていなくても構いません。ひとつでも決まっていれば、そこから他の項目が見えてきます。

  • 何をする場所にするか
    くつろぐ、来客を通す、読書や趣味に使う。ひとつだけでも決めておくと、使われ続ける場所になります。
  • 何を、どれだけ収納するか
    入れるものが決まると、必要な収納の量と、出し入れしやすい位置が決まります。
  • 床や柱の色とどう合わせるか
    畳だけで選ばず、周りの木部と並べて考えます。濃い床には淡い畳、明るい床には明度の近い畳が合います。
  • 段差を設けるかどうか
    腰かけたい、内側を収納にしたいなら段差あり。行き来のなめらかさを優先するなら段差なし、という選び方もあります。
  • どの程度仕切るか
    仕切らない、格子でゆるく、建具で閉じる。来客の頻度や、隠したい度合いから考えます。

この5つが決まっていれば、設計の打ち合わせがスムーズに進みます。決めきれない項目は、実例をご覧いただきながら一緒に考えていきましょう。

08 小上がり・畳コーナーのよくあるご質問

Q. 来客のときに 隠せますか?

A. 仕切り方は段階的に選べます。当社の施工事例では、大きく3通りの方法があります。ひとつは仕切りを設けない方法で、真壁の柱や低い腰壁でゆるやかに区切るだけにとどめます。ふたつめは木格子で視線をやわらげる方法です。格子越しに光が抜けるため、閉塞感を出さずに空間を分けられます。みっつめは建具で閉じられるようにする方法で、障子戸を設ければ開閉で使い分けられます。来客の頻度や、どの程度隠したいかによって選びます。

Q. 段差は 何cmくらいがよいですか?

A. 一律の正解はありません。何をする場所にするかによって、必要な高さが変わるためです。腰かけて過ごしたいのか、段差の内側に収納をとりたいのか。目的が決まると、そこから高さの検討に入れます。設計の段階で、実際の使い方をうかがいながら決めています。

Q. 掃除は 大変ですか?

A. 段差があると、床とひと続きに掃除することはできません。掃除機をかける動線が分かれます。段差を設けない畳スペースであれば、床と続けて掃除できます。掃除のしやすさを優先する場合は、段差を設けない選び方もご検討ください。

Q. 畳の種類は 選べますか?

A. 選べます。縁のあるなし、色味、敷き方を組み合わせて決めていきます。当社の施工事例では、縁のない畳を市松に敷いた例が多くあります。縁がないと畳の輪郭が主張せず、リビングとゆるやかにつながる見え方になります。

Q. 何帖くらい 必要ですか?

A. 広さは用途から考えます。何をする場所かが決まると、必要な広さの見当がつきます。先に広さだけを決めてしまうと、狭くて使いにくい、あるいは広すぎて持て余す、という後悔につながりやすくなります。

09 まとめ

小上がり・畳コーナーの後悔は、つくる前に判断材料が足りないことから起きています。

何をする場所にするか、何を収納するか、周りの木部とどう合わせるか。この3つが決まれば、段差の有無も置く場所も、自然と見えてきます。

このページでご紹介した施工事例は、いずれも国産ひのきの真壁づくりでつくられた住まいです。畳スペースをどうするか決めきれない場合も、実例をご覧いただきながら一緒に考えていきます。まずはお気軽にご相談ください。

 

 

 

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